やっと見てきました。今日まで人様の感想・ネタバレを踏まずに暮らしてきましたが、結果的にとても楽しむことができました。

以下本編のネタバレを含みます。

今回はなんとシチリア半島が舞台。ある案件の始末にシチリアを訪れていたマッコールさん。目的は達するものの、トラブルにより負傷してしまい現地でしばらく療養することになります。そこでお世話になった医師や街の人々との交流を経て、街を支配し人々を苦しめるマフィアのファミリーと対決することに……というストーリー。

①絵の美しさ

なんといってもシチリアの景色が最高ですよね。白い街並みと青い海。細い石階段も石畳も全部美しい。バルに行けばカプチーノが出され、なかなかの観光要素。

関係ないですが「シチリア・マフィアの世界」(藤澤房俊著)という本に、黒い服と帽子を着用して広場の椅子に集合する男性たちの写真が乗っているんですが、今作でバルのテラスに男性たちが集ってテーブルを囲み、よそ者のマッコールさんに視線を向けているのを見て「これかあ〜」と思ったりしました。

そして昼間の明るい色合いとは反対に、夜や黒の描写もとても綺麗で好きでした。彩度のない艶やかな血や、高級家具の光沢、青みがかった錆びたような黒。華美とは正反対にあるイコライザーらしい色彩だなあと思いました。

②サイレンス・バイオレンス・アクション・ホラー

予告にもありましたが今回のマッコールさんは負け知らずどころか所要時間を大幅に短縮して敵を倒します。アクションシーン全体で言っても、過去作と比べるとダントツに短いと思います。1のホームセンターバトルみたいなワクワク感だとか、2で敵と揉み合ってみたりちょっとピンチでハラハラするみたいな楽しさはほぼないです。

このへんはデンゼルワシントンの体力的な面もあるのかもしれません。68歳だしね。でも「目にも止まらぬ早業で、静かに相手を倒す」ことでマッコールさんの最強にして最恐ぶりを表現できていると思いましたし、姿の見えない何者かに次々やられていくことのホラー描写は過去1だと思います。

いや実際今回のマッコールさんの戦い方はめちゃくちゃホラーでしたね。アクションというよりホラー。「一番怖いのはオバケじゃなくて人間なんだ」的な……。敵のボスを始末するくだりも地味ながらとてもホラーで良いです(笑顔)。

③ツッコミどころはままある

マッコールさんのさいつよ伝説はさておき、ツッコミポイントというか個人的な面白ポイントはいくつかありました。マフィアに恐い目に遭わされてもそんなに動じてなさそうな住民たちとかね。警官と家族がマフィアに脅されて命の危険に晒されたりするんですけど、彼ら一度ならず三度くらい捕まっている。慣れっこか? こういう時家族だけでも遠くにやるとかならないもんかな〜と余計なお世話ながら見ていたり。

あとマフィアのボスの弟がマッコールさんに倒されたため葬儀が行われるのですが、遺影がめちゃくちゃいいやつそうな笑顔で個人的にはツボでした。さっきまで最悪のチンピラだったのに、なんて眩しい笑顔なんだ……。

因みにこのシーンは一族郎党大集合の図なので非常にゴッドファーザーらしさを演出しています。イタリアのマフィアと言ったらやっぱりゴッドファーザー要素は入れとかないとみたいな……?

その他、今回はCIA局員のコリンズという女性が登場します。この人はCIAのタレコミ電話受付係でしたが、マッコールさんの通報を受けエージェントとして現場に赴くことになります。そんな急に現場に出れるものなの? という疑問がなくもなく。なおコリンズについてはラストに思わぬ展開が待っており、そこはとてもサイコ〜でした。

④脚本は惜しいが時間に対しバランスを取ったとも

脚本は正直微妙かなと個人的には思いました。「シチリア半島の美しい景色を見せつつ、なんか悪そうなシチリアマフィアを敵にマッコールさんが無双する感じで!!」というザックリした流れをそのままやったような印象がありました。マッコールさんが負傷したり、異国の地で新たな居場所を見つけるなどの新要素はありましたが。

敵のマフィアについても「テンプレ的悪いヤツ」以上の何かがあるわけでなく、マッコールさんは当然負けないとわかっているのもあり、良くも悪くもストレスなく見れてしまった感じです。ただそれもシリーズ全体の流れで見るからそう思うのかも知れなくもあり、単作としては全然面白いと思います。4は……ないのかな〜。